転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「誉めてくださって、ありがとうございます」

照れながらヤエコに返しながらも、ヴィオラの目は、畳だけではなく、部屋中あちこち忙しくさまよっている。

 壁際に置かれているのは茶箪笥だろうか。木目が美しい材木で作られているようで、彫刻などは施されていないのに存在感がある。

 座卓の側には分厚い座布団の置かれた座椅子。花台の一輪挿しには、赤い実のついた枝が一本飾られていた。

 じっと室内の様子を観察しているヴィオラの肩に、リヒャルトの手が置かれる。見上げると、彼は口元を緩めた。

「この部屋に、興味があるのか?」

「はい、珍しいものがたくさん置かれています」

 皇帝と皇妃も室内の装飾に興味を持ったようで、あれやこれやとヤエコに質問していた。二人の質問がある程度途切れたところでヤエコは場所を移すよう合図した。

「この部屋は、オストヴァルト帝国の人には馴染まないだろうな。隣の部屋は、帝国の方をもてなすための部屋だから、そちらに移動しよう」

 最後までぐずぐずと室内を観察しているヴィオラを、タケルはじろりとにらみつけた。タケルの視線に気づいたヴィオラは思わずたじろぐ。

「――タケル、そんな目で淑女を見るもんじゃないよ。まったく、お前は目つきが悪いんだから。だから、縁談がなかなか決まらないんだろうが」

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