転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 だが、アラムは首を横に振った。

「それは、俺の手柄じゃないんで。食材の組み合わせを考えるのは、姫様が一番お上手ですよ」

「……ありがとう」

 それを言われてしまうと、照れる。

 ヴィオラの側に控えていたニイファが、馬車の外に目をやった。

「……どうやら火事のようですね。あちらに煙が見えます」

「それは大変。燃え広がるかしら」

「市場の方に来ないといいんですがね。市場は、燃えるものがたくさんあるから」

 知人が多いだけに、アラムもこの近くで火事があると聞いて焦りだした。

 三人ともじりじりしているけれど、どこが火元なのか肝心の情報は入ってこない。

長い時間が過ぎたと思っていたけれど、それほどでもなかったようだ。戻ってきた騎士が、周囲の状況を教えてくれた。

「この先にある、ミナホ人の居住区で火事が起こったようです」

「……それって、大問題じゃない!」

 ミナホ国の建物は、木造が大半だ。石造りの建物も存在しないわけではないようだが、今は早く建てるために木材での建築が進められていたはずだ。

「それで、被害は?」

「もうすぐで鎮火しそうです。さいわい、ミナホ人の居住区以外には広がらなかったのですが、居住区はほとんど燃えてしまいました。リヒャルト殿下もお越しになったので、安心してよろしいかと思います」

「……そう。リヒャルト様が」

 ヴィオラは考え込んだ。リヒャルトに任せておけば安心なのはわかっている。けれど、すぐ側にいるのにヴィオラが何もできないというのももどかしい。
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