転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ～次期皇帝と婚約なんて聞いてません！～

（もう少し時間がたてば整理できるんだろうけど……）

　きっと、もう少ししたら心もちゃんと受け入れてくれると信じている。そうすれば、この重苦しい気持ちも片付けられる。

　皇妃の言葉に、黙り込んでしまったまま、その先が続かなくなった。

再び口を開いたのは皇妃が先だった。

「でも、あなたは嫌なのよね？」

「い、嫌ってことはないですっ！」

「いえ、あなたは嫌だと思っている。最近元気がないもの。それは、縁談が嫌だからでしょう？」

「……それは」

　皇妃は、ヴィオラが思っていた以上にヴィオラのことをよく見てくれていたようだ。ヴィオラ本人はいつもと変わらない生活をしていたつもりだったから、まさか、気づかれているとは思わなかった。

「私もヤエコをとめたのだけれど、あなたはもう大人なのだから、自分の立場くらいよくわかっているはずだと聞いてくれなかったのよね」

　皇妃は頬に手を当てて深々とため息をついた。

「あなたは、年齢以上に聡いから、一番いい道を自分で選ぶことができる――見た目の幼さに騙されてはだめだ、と、そうヤエコは言うのよ」

「ヤエコ様は……私のこと、そんな風に見てたんですね」

　ヤエコの方も、ヴィオラが思っていた以上に鋭いのかもしれなかった。