転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
たしかに、ヴィオラの精神年齢は十二歳よりは上、十八歳だ。
こちらの世界では十五で成人とみなす国が大半であり、それを言うならば精神的にはもう一人前なのかもしれない。
「でもね、ヴィオラ。あなたは確かに年齢の割には聡いかもしれないけれど、成人には達していない。嫌なものを嫌と言ってもいいのよ」
「皇妃様、私、嫌ってわけじゃ――」
自分の立場を考えたなら、嫌なんて言えるはずがない。王族として生まれた重みを、"咲綾"としては理解しがたくとも、"ヴィオラ"はきちんとわかっている。
そして、前世の記憶が戻ったとはいえ、今のヴィオラの中には、"ヴィオラ"として培ってきたものも残されているのだ。
「私が、嫌」
皇妃がきっぱりと言ったものだから、ヴィオラは面食らった。
(皇妃様って、こんなにも、自分の意思を口にする人だったかしら……?)
半年ほど前、初めて会った時の皇妃は、心身ともに弱っていたというのもあるだろうが、風に吹かれれば飛びそうなという風情だった。
皇帝の愛情を取り戻したいという当時の願いが今どうなっているのか、ヴィオラにはさっぱりわからないけれど、皇妃にはそれなりに変化があったらしい。
こちらの世界では十五で成人とみなす国が大半であり、それを言うならば精神的にはもう一人前なのかもしれない。
「でもね、ヴィオラ。あなたは確かに年齢の割には聡いかもしれないけれど、成人には達していない。嫌なものを嫌と言ってもいいのよ」
「皇妃様、私、嫌ってわけじゃ――」
自分の立場を考えたなら、嫌なんて言えるはずがない。王族として生まれた重みを、"咲綾"としては理解しがたくとも、"ヴィオラ"はきちんとわかっている。
そして、前世の記憶が戻ったとはいえ、今のヴィオラの中には、"ヴィオラ"として培ってきたものも残されているのだ。
「私が、嫌」
皇妃がきっぱりと言ったものだから、ヴィオラは面食らった。
(皇妃様って、こんなにも、自分の意思を口にする人だったかしら……?)
半年ほど前、初めて会った時の皇妃は、心身ともに弱っていたというのもあるだろうが、風に吹かれれば飛びそうなという風情だった。
皇帝の愛情を取り戻したいという当時の願いが今どうなっているのか、ヴィオラにはさっぱりわからないけれど、皇妃にはそれなりに変化があったらしい。