転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 あまりにも事態が目まぐるしく展開するものだから、ヴィオラの混乱は収まるどころかひどくなる一方だ。

「だ、だ、だめですよ、そんなの……!」

(リヒャルト様もちゃんと、嫌だって言えばいいのに……!)

 婚約するなんて、リヒャルトにとっても負担が大きすぎる。

「では、リヒャルト。話はここまでにしましょう。あなたは政務に戻りなさい」

 皇妃に出ていくように合図されたリヒャルトは、皇妃に向かって一礼する。

「皇妃様、私、リヒャルト様とお話をしてきます!」

 皇妃を放り出してリヒャルトの後を追うなど、失礼な行為なのだが、ヴィオラは完全に礼儀を忘れて部屋を飛び出した。

「リヒャルト様、リヒャルト様――待って!」

 背の高いリヒャルトと、平均より小柄なヴィオラでは、そもそも脚の長さが違い過ぎる。悠々と歩くリヒャルトのあとを小走りに追いかけたが、引き離される一方だ。

 大声を聞き、ようやく立ち止まった彼は、ヴィオラが追い付くのを待ってくれた。

「どうした」

「リヒャルト様は、それでいいんですか? わ、私と……その、こ、婚約、だなんて」

 婚約――という言葉に、耳まで真っ赤になったのを自覚する。

(こんな時に、赤くならなくてもいいのに!)

 自分で自分を殴ってやりたい気分に陥るけれど、今はリヒャルトと話をする方が先だ。
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