『またね。』
「ははっ、何言ってるの、当たり前だろ?」
俺も笑いながら鈴ちゃんの手を握る。
高校生2年生まではカーディガン絶対羽織ってたのに今では半袖のワンピースだ。
細くて少し日焼けした鈴ちゃん。
前は真っ白で今にも死にそうな顔してたのに…
手術前は本当に白くて痩せすぎていた鈴ちゃんが少し日焼けして健康な体つきになった。
「じゃあ最初はあれ!」
鈴ちゃんが指さしたのは王道ジェットコースター。
「…ハード過ぎない?」
…いきなりハードル高過ぎない?
…俺、来ておいてなんだけど…高所恐怖症なんだよなあ……
「えー…じゃあ辞める?」
「いや、乗ろうか。」
…頑張れ、俺…

「ー…おえっ…」
…見事。
俺は乗り終わったあと撃沈した。
立て続けに5発はきつい…
「鈴ちゃん…三半規管強いね…」
5発もよく頑張った、俺…
「…大丈夫?」
鈴ちゃんは俺の顔を覗き込んで心配そうな顔をする。
「ははっ、…大丈夫…」
吐きそう〜…
「…ちょっと横になってて?」
鈴ちゃんは俺をベンチに座らせてどこかへ行ってしまった。
…俺、かなりカッコ悪くない?
鈴ちゃんを楽しませようと思って遊園地に誘ったのに、誘った本人撃沈するとか…
「磯ヶ谷くん、大丈夫?」
顔を上げると鈴ちゃんは飲み物2つ持って立っていた。
…わざわざ買いに行ってくれたのかな。
「これ、コーラだけど良かった?」
「…うん。コーラ好き。」
「良かった〜、よくコーラ飲んでるの見てたから〜」
…よく見てるなあ。
流石3年連続委員長…
周りをよく見てる。
「気分はどう?」
「だいぶマシになったよ。」
しばらく座ってたからかな。
気持ち悪いのは無くなったし、だいぶマシだ。
「動ける?」
「うん。もう大丈夫。
次はどこいく?」
鈴ちゃんは少し考えてぱあっと明るい顔になった。
「あ、お化け屋敷行きたいの!
前来た時は入れてもらえなかったから。」
…卯月と一緒にきたときか…
心臓に悪いと思って入れなかったんだろうな…
優しい卯月らしい。
「いいよ。行こうか。」
…ホラー大丈夫なのかな?
俺は平気だけど…
鈴ちゃん、心臓治って初めてのホラーだよね…?
…かなり、怖いぞ…?
「…怖い…」
「だねえ」
鈴ちゃんはお化け屋敷に入って暫くしたら涙目で俺にくっ付いてきた。
…何これ優越感。
初めて鈴ちゃんに頼ってもらえてる…
「…磯ヶ谷くん…怖いよぉ…」
鈴ちゃんは俺にしがみついて震えてる。
…入りたいって言った本人が…
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