キミの溺愛は甘すぎる。



「まだ高校一年なのよ?
何も焦る必要ないじゃない」

「優翔ばっかり大人になってる、から……嫌なの。私だって大人になりたい」

「まだまだふたりとも子供なの。私はもっと高校生らしく過ごせばいいのにと思ってる」


少し目を細め、切なげに揺れるお母さんの瞳。
それを見て胸が痛んだ。

中学の頃に聞いたお父さんとお母さんの重い過去。


小学生の頃は両親にそんな重い過去があるだなんて考えすらしていなくて。

ただお母さんの両親と、お父さんの母親は病気で亡くなったとだけ聞いていた。


だからまさかお母さんの両親は何者かに殺され、お父さんは母親からひどい虐待を受けていたと聞いた時は驚き以上に信じられなくて───


すごく幸せだったから。
お父さんもお母さんも、私を大切に育ててくれて。

ふたりも幸せそうだったから。


その話を聞いた時は言葉を失い、苦しそうなふたりの表情を見て思わず泣いてしまった。

幸せそうな表情しか知らなかったかったため、余計に。

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