すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「……本当は、何度もここに誘おうとしてたんだ。“腕が治る頃、藍里がよければ今度一緒に行こう”って」

「え、そうなの?」

「ああ。言おうとする度に何故か邪魔が入ったり寝てしまったりして、結局言えなかったけどな」

言われて思い出したのは、桜を見に行った帰りの電車。
智大が何か言いかけてそのまま眠ってしまった時のことを思い出して藍里は小さく、あの時……。と呟いた。

「何度言おうとしても言えなかったから諦めた。それならそれで、内緒で連れて行くのもいいかと思ったんだ」

「うん……サプライズみたいで嬉しかったよ。智君が連れてきてくれるところは、全部楽しい」

「その中でも今日は……今までよりも、これからも、ずっと記憶に残るような場所にしたかったんだ」

「今日……」

また智大の口から出た“今日”という言葉に藍里は首を傾げた。
どうしても今日に拘っているらしい智大に、藍里は内心焦りながら口を開く。

「ねえ、今日って何か特別な日だったのかな?私覚えてなくて……」

「いや、まだ特別でも何でもない日だ。……これから特別な日になればいいと思ってるけどな」

「これから……?それって……っ!」

どういう意味?と聞こうとした藍里の言葉は最後の部屋に入った瞬間に止まってしまった。

その部屋の床は、もくもくと煙のような物が充満していて白く輝いている。
周りや頭上には無数の星が散りばめられていて、まるで雲の上に乗って星空の中にいるようだった。
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