すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
約束した日から二週間経ち、漸く二人でゆっくりと公園に行ける日が来た。
やはり、前日から楽しみのあまり眠れなかった藍里はその日の朝は寝過ごしてしまい、やっと起きた頃にはお弁当は智大が完成させてしまっていた。

嬉しいけれど自分の不甲斐なさに落ち込んでいると、智大に慰められた。

「別にこれが最後の弁当になるわけじゃないだろ」

「でも、せっかくのお出掛けなんだから智君が好きな物、たくさん入れてたかったんだもの……」

気落ちしたままそう呟くと、智大は目を細めて額に口付けてきた。
すぐに離れた智大を目で追うと、智大は笑みを浮かべていた。

「始めから俺が作るつもりだったんだ。今日は出産前の藍里の鋭気を養う目的だったからな」

そう言って智大が蓋をしていた弁当箱を開けると、そこにはサンドイッチに卵焼き、ミニトマトにウインナーといった物が並んでいて、それはまるで子供のお弁当のような中身だったが、どれも藍里が大好きな物ばかりだった。

見ただけで分かる愛情たっぷりの弁当に、藍里は胸がキュンとして思わず両手で顔を覆った。

「無理……智君がすごく好きすぎて困る……」

「何度も言ってるが、俺の方が藍里を好きだからな」

見えなくても分かる。恐らく満面の笑顔で言い放ったのだろう智大を思い浮かべていると、藍里はお腹に今までにない違和感を感じてそっと顔から両手を離して顔を下に向けた。

けれどその違和感は一瞬のことだったので気のせいかと思い、智大と出掛ける準備をして昼頃に意気揚々と家を出たのだった。
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