すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
「汐見、それくらいにしろ。藍里、眠った」

智大から差し出された赤ちゃんをそっと受け取ると、藍里は柔らかく微笑みながら抱きしめた。
お腹にいた時より重たくなった我が子に慈しみの笑みを浮かべると、周りもみんな目を細めて笑顔を見せていた。

「智君、私……すごく幸せ」

見合いをすると言われた時には、こんな幸せな日々が訪れるとは露程にも思っていなかった。
絶望しか感じられなかったのに、こんなに毎日が幸せでいいのかと戸惑うこともあったが、その都度智大が態度と言葉で伝え続けてくれていた。

「残念だったな。俺の方が藍里よりも幸せだ」

強気に微笑む智大に、藍里ははにかんだ笑顔を浮かべる。

確かに、幼少期から藍里一筋でいた智大の方が、今のこの状況に特別幸せを感じているのかもしれない。
再び赤ちゃんに視線を落とすと藍里の腕の中、安心しきって眠っていた。

「……さあ!祝いは始まったばっかりだからな!腹一杯飲んで食うぞ!!」

「ちょ……先輩、大声だしたら赤ちゃん起きちゃいますよ?」

「そしたら俺がまた抱っこさせてもらう!誰よりも早く顔を覚えてもらって、いつか俺と……」

「その年齢差だと最早犯罪の域ですよね?先輩方、この人捕まえといた方が良くないですか?」

「「「一理ある」」」

「いや、それ酷くないですかっ!?」

またも盛り上がり始めた五人を見ていたら、ふと赤ちゃんの上に置いていた手に何かが触れた感覚がして顔を下に向けた。
すると、この騒がしさで起きてしまったのか、赤ちゃんが藍里の手に小さな手を置き、大きな目を開けて藍里を見ていた。

「……起きちゃった?今日は賑やかだねー」

「ぁー」

藍里が小声で話しかけると、赤ちゃんは返事をするように言葉なき声を上げる。
小さくて愛しい存在をしっかりと抱きしめて、藍里はゆっくり立ち上がるとさらに愛しい人の元へと向かうのだった。
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