生簀の恋は青い空を知っているか。
溜息をもらすと、鼎に「あらもうマリッジブルー?」と茶化される。
「他人事だと思って」
「他人事だもの。目一杯楽しまなきゃ」
「鼎さん……」
「親のことだって他人事でしょう?」
その言葉に思わず口を噤む。なんとも反論できない。
グラスについた水滴が一粒落ちた。コースターに染み渡り、少しだけ色を変えた。
「待って、かなりイケメンじゃない!?」
理美が画面を見せてくる。この前会った顔と何ら変わりない。
鼎もそれを見て何も言わない。
「……理美が結婚する?」
「何バカなこと言ってんの。松葉ちゃんが結婚するんでしょう?」