生簀の恋は青い空を知っているか。
理美にすら諭される始末。
「すみません、ジントニックください」
通りかかった店員さんに注文した。
今日は飲んで良い日だ。誕生日だし、友達もいるし。
誰にも迷惑をかけない。
……どこ、ここは。
天井を見て、家じゃないことに気づく。頭がズキズキするけれど、思考回路は正常だった。
理美の家には一度行ったことがあるけれど、この色じゃなかった。鼎はまだ実家住み。
「26にもなって、意識失うくらいまで飲むなよ」
「うわ!」
その声に飛び起きた。頭がぐらりと揺れて、脳みそごと揺れた感じがした。
思わず頭を抱える。人生で一番ひどい頭痛を感じている。