生簀の恋は青い空を知っているか。

滲んだ視界を通して、バラエティー番組を見る。

わたしは自分を特別だと思っていたわけではないけれど、実はお姫様だと思い込んでいた。
そういうオチなのか。

浅黄さんが誰と付き合っていたとか、そういう話はこれから先も聞くことはあるだろう。

その中のひとつに、今日出会っただけだ。相手が星奈さんであれ、誰であれ。
そういうもののひとつに、これほどまでに心が振り回されるなんて。

一人で、虚しい。

どうせわたしに恋人の一人もいなかったことは、浅黄さんは調べて知っているだろうし、然程興味もないだろうし、本当にわたしだけ。

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