生簀の恋は青い空を知っているか。

ベッドの上。隣で胡坐をかいて座っているのは浅黄さんだった。

膝の上にノートPCが乗っている。

「え、どうし、たんですか」
「水」

驚いているのと寝起きだったことで、声がちゃんと出ない。浅黄さんがミネラルウォーターをこちらへ差し出してくれた。
それを受け取って、一口飲み込む。

「なんでここに」
「お、水を与えるとちゃんと喋られるようになった」
「今何時ですか?」

自分の腕に目をやるけれど。腕時計がなくなっていた。わたしの初ボーナスで買った時計、どこに行ったの。
腕時計を見つけるより先に、デジタル置時計が目に入った。

< 19 / 331 >

この作品をシェア

pagetop