生簀の恋は青い空を知っているか。
あれ、鼎のパーティーのときも泥酔していたっけ。
自分の中の記憶が曖昧になっている。
「いや、何でもない」
「え、気になるところで止めないでください」
「そんなに重要じゃない。通過点だっただけで」
わたしの気になる気持ちは置いてけぼりになった。浅黄さんの中で、それは方がついてしまったようだ。
「会長は昔から孫の中でも俺に厳しかった」
エレベーターが部屋の階につく。扉が開いて、二人でおりた。
浅黄さんが鍵を開けて、中に入る。
「期待されてたからじゃないですか?」
「君は他人のことだとプラス思考が働くのか」