生簀の恋は青い空を知っているか。


「ん、ふ……う、」

そこばかりを弄られて、何分経ったのだろう。最初の方は手を止めるために掴んでいた手が、声を抑える方に変わっていった。

身体は弛緩して、ぐったりと後ろにいる浅黄さんにもたれかかっている。

「あ、あさぎさ……」
「ん?」
「もうや……」
「ほら、君の好きな悠介が出てる」

耳元で言われて、前の方を見る。まだ点いていたテレビの中で、富山さんが台詞を喋っている。
ドラマの内容なんて頭に入ってこなくて、どんな場面なのかも分からない。

「気持ち良くなってるとこ、見てもらえよ」

そうやって尖りに触れられる。ひどい、意地悪だ。

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