生簀の恋は青い空を知っているか。

経験値の差というか、人生の差というか。

「あさぎさ、」
「ん」
「かお、みたいです」

項にキスを落としていた浅黄さんの動きが止まった。それから、身体がぐるんと倒される。

正直、見なきゃよかった。
浅黄さんの色気は尋常じゃない。

でもそんな感想はすぐに吹っ飛んだ。噛みつくようにキスをされて、結局酸欠に陥った。

浅黄さんが器用に視界の端でリモコンを手に取って、テレビを消す。

「酸素カプセル、買うか」
「うん?」
「酸欠で死ぬ前に」

……うん、あの。
まず酸欠にしないように努力してくださいね……。



< 250 / 331 >

この作品をシェア

pagetop