生簀の恋は青い空を知っているか。





わたしは浅黄さんを連れて、総合病院にいた。

「一緒に行きたいところがあります」と言えば、浅黄さんは普通に聞いてくれた。思えば、前からわたしがどうしたいのか、よく聞いてくれた。

「見舞いか?」

尋ねられて、曖昧に笑う。見舞いか、と言われればそうなのかもしれないけれど、そうだとも言い切れない。
そのまま入院病棟のエレベーターに乗った。

その階でおりて、奥まった病室へと進む。小さいナースステーションがあって、見知った看護師さんに挨拶をする。

「こんにちは、そちらは?」

浅黄さんへ視線を向ける。

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