生簀の恋は青い空を知っているか。






休日の病院は混んでいる。併設しているカフェも混んでいて、わたしたちは自販機の並んでいる場所に椅子とテーブルが置かれた休憩所のような場所に腰を落ち着けた。

窓の空は青く、葉っぱが色づき始めてきていた。

病院の外を見てそれに気づくなんて、わたしはどれだけ最近外の様子を気にしていなかったのだろう。
三年前も、こういう天気の良い日だった。

「嘘を吐いて、ごめんなさい」

まず謝罪をした。缶コーヒーを持っていた浅黄さんがきょとんとした顔でこちらを見る。

「オーストラリアにいると言ったことです」

ああ、と合点がいったようだった。

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