生簀の恋は青い空を知っているか。
青になったので、歩き始める。
「もしもし、あのさ理美」
『うん』
「話したいことがあるの」
『聞くよ』
「お兄ちゃんのことなんだけど」
この期に及んで言葉を探す。
その時だった。右側から眩しい程の光が迫る。
そちらを向いたときには、真っ暗だった。
どこかで悲鳴が聞こえる。
頬に冷たいアスファルトの感覚。
理美が悲しむ姿が見たくなくて、言えなかったんだ。
ただ、それだけ。
それだけ、伝えたいの。