生簀の恋は青い空を知っているか。
わたしは親友に恵まれた。誰にでも自慢できる親友だ。
三人で泣きながらエレベーターを降りると、すれ違った看護師さんに怪訝な顔をされる。
それから母にはぎょっとされた。
セーターの裾に毛玉を見つけて「やっぱり服変えてくる」と声をあげる。
「あ? それで行くって言ったろ」
松葉杖が取れた頃、指輪は既に手元にあって、浅黄さんのご両親が日本に帰ってきた。
面倒くさそうな視線を横に、部屋へと戻る。
セーターを脱いで、最後まで迷ったブラウスを着る。ブラウスにするなら、スカートも変えよう、とまた考える。