生簀の恋は青い空を知っているか。

「柴舟松葉、嫁です」
「こんにちは、お邪魔します」
「あらあらこんにちは、大変だったわよね。早くあがって」

段差気を付けてね、と上がり框を示される。
頷いて靴を脱いだ。浅黄さんが後ろからついてくる。

居間というかリビングみたいな場所に通される。ソファーとテーブルが揃っていた。

「ちょっと待っててね、お父さん呼んでくるから」

お義母さんがそのまま廊下に消える。わたしは立ったままガラス戸の方を見た。

「似てるね、浅黄さんと」
「そうか?」
「同じ血が流れてるって感じがする」

なんだそれ、と言いながら浅黄さんがソファーに座る。

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