Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
直人さんがあたしを殺すことを決めれば、龍美さんがきっと動く。


彼は絶対にあたしを殺すだろう。


龍美さんが罪人を許すわけがない。


この組で本当に恐ろしいのは組長じゃない。


若頭である龍美さんだ。


初めて会ったとき、銃口を向けられたあの絶望を今でも鮮明に覚えてる。


あの心が震え上がる感じ。


疑わしいだけであそこまでする人だ。


完全に裏切ったとなれば、容赦ないだろう。


─ガチャッ


突然部屋の扉が開いた。


「…何?」


入ってきたのは宮瀬。


メッセージ送信画面のまま、慌ててスマホの電源を切って、それを、腕を伸ばしてなんとか近くのテーブルに置く。


「別に」
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