Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
こんな地区でも空は綺麗だ。


大きな入道雲や飛行機雲と濃い青空のコントラストがやけに美しい。


だけど視線を落として周りを見れば、驚くほど汚い世界が広がってるんだ。


あたしはこんな世界で生きてるんだ。


あの綺麗な青空へは行けない。


視線を落としたまま歩みを進めると、近くから人の呻き声や金属が擦り合う音が聞こえてきた。


真昼間から喧嘩か…。


やっぱりここは低俗でろくでもない場所。


そこが似合うあたしがナオと釣り合ってたのがおかしな話だったのかもしれない。


「─っ!」


あたしが聞いた音はヤンキー同士の喧嘩なんかじゃなかった。


慌ててあたしの姿がバレないように壁に背をつけ、角から少しだけ顔を覗かせて様子を伺う。
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