Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
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四方八方真っ黒な空間。
ナオ…。
目の前にナオがいる。
でも手を伸ばしても永遠に届かない。
どんどん離れていってしまう。
ナオに触れようとしても空を切る。
「ナオ…ごめんね…大好きだよ…っ」
あたしがそう言えばナオはほんの少しだけ微笑んだ。
「…ナオ…ヨリ戻そう…?」
追いかけても追いかけてもナオには追いつけない。
ナオは寂しそうな顔でこっちを見てくるんだ。
「…本当に悪かったと思ってる。もうナオ以外の男のところには行かないから…。だから…」
「…玲…香」
苦しそうなナオの声。
久しぶりにナオの声を聞いた。
久しぶりにナオに名前を呼んでもらえた。