Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「さ、そろそろ殺そうか」


…貫田さんが手に持ってるのはあたしのナイフ。


それで刺し殺すつもりか…。


「…ナオに申し訳ないとは思わないの?育児放棄してまだ幼いナオの心を傷つけて…っ。ナオに謝って…!そしたらあたしも潔く殺される…っ」


苦しかったに違いない。


母親はおらず、父親からはろくに愛情を注いでもらえない。


あたしだって苦しかった。


母親は遊び歩き、父親は滅多に帰ってこない。


同じような境遇だからこそ、その苦しみは分かりあえる。


「死んだ人間に謝る必要ないやろ。ごちゃごちゃ喚くな。美しさが半減する。それとももっとメチャクチャに犯されたい?」


…これが貫田さんの素。
< 327 / 406 >

この作品をシェア

pagetop