Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
気になるけど、人のノートを勝手に見るのは気が引ける。


「…ふぅ……」


意を決して手紙の封を切り、便箋を取り出す。


丁寧に2つに折られた便箋を開くと、ナオの几帳面な字が並んでいる。


『玲香へ。

この手紙は俺が死んだら玲香に届くように頼んでる。

玲香が読んでるってことは俺はもう玲香の側にいてやれないんだよな。ごめん。

これを書いてるのは拉致決行の前日。

明日俺は死ぬと思う。

いつかこの日が来ることは、連合のトップに立ったときから分かってた。

暴走族とはいえ、ヤクザと関わる連合のトップだ。

危険と隣り合わせなのは百も承知でこの道を選んだ。

そのことは後悔はしてない。

でも、玲香のことで後悔してることはたくさんある』
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