【短】愛を語るよりも早く、その口唇を味わいたい。
うちの高校は、バレー部が推しの学校で、毎日バカみたいに練習に明け暮れてる。


元々体を動かすことが好きだった俺は、中学の時からバレーをしてて、その頃からエースだったわけなんだけど…。

いわゆる強豪校に入り込んで…自分に自信がなくなり掛けてた時期もあった。

周りの皆の身体能力についていくのに必死で、もうがむしゃらにやっていかなきゃって、自分を追い込んでいた。


でも、自分が二年になって彩姫ちゃんがマネージャーとして入ってきてから、世界はがらりと変わったんだ。


小さい体で、くるくる働く彼女の姿に励まされ、頑張ろう、もっともっと強くなろう、バレーを好きな気持ちを忘れないでいよう…そう、何度も思わせてくれて。

何度も試合を繰り返して、二年の後半に顧問からキャプテンに抜擢してもらえた時は、涙が出るくらい嬉しかった。


だから…彼女は、俺にとって女神そのもの。


本来なら、それを素直に口にできればいいんだろうけど…どうやら俺にはそういうスキルは身についてないようで…。


あー…今日も、ただからかってるって思われてんだろーな。


そんなことを考えて、ぽりぽりと頬を掻いた。



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