144本のバラの花束を君に
エリックの体からは、いつも優しいバラの香りがしていた。それは今も変わらない。静音はその香りを思い切り吸い込む。

「Hey!(ねえ!)People are watching and embarrassing.(人が見ていて恥ずかしい)Let`s leave once(いったん離れようよ)」

静音が見上げると、赤くした顔を横に向けてエリックが言った。



外国人、と聞けば日本人よりも愛情表現を外でもしっかりするようなイメージがある人もいると思う。静音もエリックと出会うまでそんなイメージだった。

エリックはシャイで、静音が告白した時も「……Nice to meet you (よろしく)」という返事だった。人前で他のカップルのように抱きしめあったりすることもせず、静音が抱きつくと恥ずかしがる。甘い言葉も滅多に口にしない。

静音のイメージと違うイギリス人だが、静音はエリックのことが大好きだ。

空港で再開したエリックと静音は、そのままエリックの家に行くことになった。静音はイギリス滞在中は、エリックの家で泊まることになっている。
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