クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
「白、生クリーム」

「御意」

絶妙な合いの手が加わり、スイーツ作りにもパフォーマンス性が加わる。

テーブルに腰かけてキッチンを見ていたお客も、外国人王子様風の白人と、何故か侍風の美女・愛菓が作り上げるスイーツの製作工程にうっとりとみとれていた。

゛気に入らない゛

Mr coolこと樫原和生は、間に入ることはできないと思わせる、愛菓と白人の阿吽の呼吸にイライラが募っていた。

゛愛菓さんの隣にいるのがふさわしい人間はお前ではなく、この俺だろう゛

内心ブリザードが吹き荒れる和生だったが、Mr coolの仮面は崩れない。

ただならぬ空気に身を震わす阿左美は

「ちょっとクーラー効きすぎですかね?」

と慌てて、事務室件休憩室のコントローラーを調整に向かった。

「愛菓さん、こんにちは」

「ああ、和生殿、いらっしゃいませ」

出来上がったスイーツから顔をあげると、愛菓はしっかりとお辞儀をした。

「そんな堅苦しい挨拶は、我々の間では不要です」

「いえ、今は業務中ですし、オーナーに無礼を働くわけにはいきません。白、例のものを」

「ハッ!」

白人は急いで冷蔵庫スペースへ向かうと、

゛Pouding adulte゛

゛大人のプリン゛を運んできた。

「今日はモカブレンドではなく、カフェラテのラテアートをお願いしたい」

「畏まりました」




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