欠けてるあなたが大好きです。

昨日も作ったし、スムーズに体が動く。


十数分後にあつあつナポリタンが完成する。



「できましたー。」


「はや!」


わたしがいつも座る席に座っていたイブさんに

ナポリタンを持っていく。



「それ取るねー。」


耳につけられてた機械を外され、違和感がなくなる。




「咲雪、店開けるからエプロンつけてこい。」


「はーい。」


フウくんの言葉によって

イブさんが食べ始めるのを見ないまま裏へ入る。



そういえばネクタイもしてなかったや。




いそいそとネクタイと腰巻きエプロンをつけて、

ロッカーの隣にある姿見で確認する。


うん!大丈夫!



ふと時計を見ると、16時23分を示していた。


 


お店に戻ると、ナポリタンを食べてるイブさんと、

しかめっ面をしてるフウくんが。


「どうかしたの?」


「イブさんのせいで客が増えた。」



「…どういうこと?」



「イブさんがここにいるってつぶやきやがったんだよ。

 あの人有名カフェ手がけてるからって

 雑誌に載りまくりで、顔もいいから

 余計カフェが混雑するってゆーね。」


なるほど。



イブさんをひと目見たくてお客さんが来たのか。





5分早いけどしゃあない、と言いながら

フウくんが店を開ける。



と、まず最初に入ってきたのは

伊藤さんたち2人組だった。



< 150 / 357 >

この作品をシェア

pagetop