欠けてるあなたが大好きです。
昨日も作ったし、スムーズに体が動く。
十数分後にあつあつナポリタンが完成する。
「できましたー。」
「はや!」
わたしがいつも座る席に座っていたイブさんに
ナポリタンを持っていく。
「それ取るねー。」
耳につけられてた機械を外され、違和感がなくなる。
「咲雪、店開けるからエプロンつけてこい。」
「はーい。」
フウくんの言葉によって
イブさんが食べ始めるのを見ないまま裏へ入る。
そういえばネクタイもしてなかったや。
いそいそとネクタイと腰巻きエプロンをつけて、
ロッカーの隣にある姿見で確認する。
うん!大丈夫!
ふと時計を見ると、16時23分を示していた。
お店に戻ると、ナポリタンを食べてるイブさんと、
しかめっ面をしてるフウくんが。
「どうかしたの?」
「イブさんのせいで客が増えた。」
「…どういうこと?」
「イブさんがここにいるってつぶやきやがったんだよ。
あの人有名カフェ手がけてるからって
雑誌に載りまくりで、顔もいいから
余計カフェが混雑するってゆーね。」
なるほど。
イブさんをひと目見たくてお客さんが来たのか。
5分早いけどしゃあない、と言いながら
フウくんが店を開ける。
と、まず最初に入ってきたのは
伊藤さんたち2人組だった。