同じ人を好きになるなんて
家に帰り私は洗濯物を取り込んだ。

陸斗と二人きりの時間が持てて嬉しいはずなのに全く嬉しくない。

だけど一番情けないのは陸斗に奥さんのことが聞けないことだ。

そもそも本当に別れたの?

それともまさかの別居中?

もしそうなら私は不倫していることになるの?

やっぱり聞きたい。

じゃないとこの先一緒にはいられない。

私はリビングで仕事をしている陸斗に声をかけた。

「ねえ……陸斗」

「何?」

「りっくんのことなんだけど……」

本当は陸斗の奥さんと言いたかったが口に出すのも怖くて遠回しな言い方をしてしまう。

「理人がどうかした?」

「うん……着替えとか大丈夫かな?って思って」

自分で自分が嫌になる。なんでこんな聞き方しかできないんだろう。

どれだけ臆病なのよ。

「ああそれなら大丈夫だよ。あいつの家には理人の服なんかわんさかあるだろうし」

なんだかすごく他人事のように聞こえる。

「そう……なら良かった」

って言いながら全然良くない。
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