同じ人を好きになるなんて
「じゃあ正直に言います。私は一目惚れとか相手の内面を見ずになんとなく付き合うことができないので……すみません。気持ちには答えられません。それじゃあ」

告白に勇気がいるのはわかるけど、断るのも勇気がいるっていうのを初めて知った。

相手を傷つけてしまったのではという罪悪感なのだろうか。

そんな顔を見せたくなくて私はその場から立ち去ろうと回れ右をした。

だがまたしてもそれを阻止された。

「だったらもっと俺のことを知ってよ。それでもダメなら諦めがつくけど、俺のこと何も知らないで断らないでほしい」

「で、でも」

だからといってどうすれば?
「まずは友達から。でも……人目が気になるなら……そうだ。ここだと人目もつかないから毎日お昼時間はここで一緒にお昼を食べない?」

「ここで……ですか?」

「そう。ここで俺のことを知ってもらってそれでも嫌だと思ったらその時は今日の告白の返事を受け止めるよ」

なんだかかなり強引な感じはしたけどお昼ご飯を一緒に食べるくらいならいいかな?

それにここは本当に人がほとんど来ない場所だし。

「わかりました」

すると綱島先輩は力強くガッツポーズをした。

でも人ってわからないものだ。

私のどこがいいのだろう。

そんなことを思いながら綱島先輩とのランチ友達がスタートした。
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