同じ人を好きになるなんて
思いもしなかったりっくんの発言に私は何も言えなかった。

とりあえずこの話はみんなに伝えなきゃとりっくんを送ると急いで家に帰った。

家では凛子さんが遅い朝食を摂っていた。

陸斗も今から仕事に行くため靴を履いていたが

「話があるの!」と無理やり靴を脱がせた。

「どうした。また何かあったのか?」

私は大きく頷いた。

そしてりっくんとの会話を二人に話した。



「あの子そんなこと言ったの?」

凛子さんはかなり驚いていた。

でもそれは私も陸斗も同じだった。

「だけど、理人には難しい選択だたんじゃないのかな」

私は大きく頷いた。

「なんていうのかな〜ずっと我慢していたように見えたの。凛子さんと一緒に暮らしたい。だけどここにはお友達もたくさんいるし……」

「まゆりちゃんや陸斗がいるもんね」

凛子さんは肩を落とした。

「でも……りっくんはお母さんと一緒にいたいけど、自分がいると凛子さんの仕事の邪魔になるんじゃないかって……」

5歳と言えど言葉も通じなく知ってる人は凛子さんだけの場所に行くのはやっぱり不安が大きいのだろう。

こればかりは私が口を出せる立場にはない。

「義兄さんがパリに着いたら自分は日本に戻りたいって……理人はそう言ったんだよな?」

「うん」

「俺は理人がそうしたいっていうんであればいいと思う」

「え?」

「え?」

私と凛子さんの声が重なる。
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