同じ人を好きになるなんて
「りっくん?」

もう一度尋ねるとりっくんは誰にも言わないでと前置きをした。

「うん。誰にも言わないから聞かせて?」

「僕……本当は保育園やめたくなかった。まゆりお姉ちゃんと保育園に行きたかった」

りっくんが初めて私の前で涙を流した。

「りっくん」

私はしゃがんでりっくんの涙をハンカチで拭き取る。

するとりっくんは話を続けた。

「でも……ママと一緒にいたいのも本当なの。でも僕が近くにいるとママの仕事の邪魔になるかな?」

「邪魔だなんて思っていないわよ」

私は慌てて否定した。

それにりっくんには凛子さんが必要なはず。

「ねえまゆりお姉ちゃん」

「なあに?」

「パパが帰ってきたらママも寂しくないでしょ?そしたら僕戻ってきていい?」

「え?」
< 190 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop