同じ人を好きになるなんて
陸斗は私をじーっと見つめると、急に肩の力を落とすように椅子の背にもたれかかった。
「なーんだ。そんなことを心配していたのか」
「そんなことって……これは重要なことよ!」
すると陸斗は得意げに笑った。
「そこは大丈夫だろ。だって俺たち、元は恋人同士だったんだからまゆりのことなら他の誰よりもよくわかってる」
何を言うかと思えば……
「……やめてよ。その言い方。もう五年も前のことだしあの時の私とは違うの」
好きだったあの頃の私は陸斗しか見えなかった。
人を好きになるってこんなに人を幸せにさせるものなのかって……だから自分の幸せと同じ分の幸せを陸斗にも感じて欲しくて料理だってたくさん覚えたし、陸斗を中心に物事を考えていた。
でもそれは陸斗のことが好きだった五年前のこと。
今の私はもうあの頃の私ではない。
だが陸斗「違わない」と断言するように言う。
どこが違わないのかわからない。
私は納得できず大きくため息を吐いた。
「何をどう思って違わないと言っているのかわからないけど……私はもうあの時の私じゃないし。陸斗だって……同じでしょ?」
そう、この五年の間に私よりも陸斗の方が大きく変わった。
結婚して子供までできて……
既婚者になった陸斗と嘘の夫婦を演じる自信など私にはない。
「なーんだ。そんなことを心配していたのか」
「そんなことって……これは重要なことよ!」
すると陸斗は得意げに笑った。
「そこは大丈夫だろ。だって俺たち、元は恋人同士だったんだからまゆりのことなら他の誰よりもよくわかってる」
何を言うかと思えば……
「……やめてよ。その言い方。もう五年も前のことだしあの時の私とは違うの」
好きだったあの頃の私は陸斗しか見えなかった。
人を好きになるってこんなに人を幸せにさせるものなのかって……だから自分の幸せと同じ分の幸せを陸斗にも感じて欲しくて料理だってたくさん覚えたし、陸斗を中心に物事を考えていた。
でもそれは陸斗のことが好きだった五年前のこと。
今の私はもうあの頃の私ではない。
だが陸斗「違わない」と断言するように言う。
どこが違わないのかわからない。
私は納得できず大きくため息を吐いた。
「何をどう思って違わないと言っているのかわからないけど……私はもうあの時の私じゃないし。陸斗だって……同じでしょ?」
そう、この五年の間に私よりも陸斗の方が大きく変わった。
結婚して子供までできて……
既婚者になった陸斗と嘘の夫婦を演じる自信など私にはない。