同じ人を好きになるなんて
私は食事を食べ終えた陸斗の食器を片付けるため立ち上がった。

すると陸斗が突然私の腕をつかんだ。

「俺は変わってない。それに俺たちが別れたのだって……嫌いで別れたんじゃないだろ」

私を見る陸斗の目がいつになく力強くて熱かった。

でも私が別れを切り出したらすぐにわかったって言ったじゃない。

じゃあもし、あの時陸斗が「嫌だ」って言ったら私たち続いていたの?

って今更過去を掘り返したところで過去は過去じゃない。

「そんなこと今更言われても––」

その時だった。

「トイレ」

タイミングがいいのか悪いのか?

りっくんが眠そうに目をこすりながら階段を降りてきた。

「りっくん?トイレ?」

「うん」

りっくんは大きく頷いた。

私は掴まれた腕に視線を落とした。

すると陸斗の手が離れたのですぐにりっくんに駆け寄った。

そして私はりっくんをトイレまで誘導した。
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