俺の、となりにいろ。

紺野主任とは同じ路線のバスをつかっていることを、初めて知った。バス停を聞くと、私の使っているバス停の三つほど先のバス停らしい。
意外と近くに住んでいたことに驚いた。

「いろいろと、ありがとうございました」

私はバスの中でペコリと頭を下げた。本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
紺野主任は優しく笑う、爽やかなイケメンさんだ。秀人とは同期だ、と教えてくれた。

「桐谷から松坂さんの様子を見てきて欲しいと頼まれたんだ。まさか、あんな事になってるなんて思わなかったよ。間に合って良かった」
と、目尻を下げる。
私も頷いて「私もどうなるかと…」と、城ノ内主任の姿を思い出して、ブルッと身震いをした。

紺野主任がクスクスと笑い出す。
「でも松坂さん。あの場にいたのが俺じゃなくて桐谷だったら、身震いじゃ済まなかったと思うよ。城ノ内主任は間違いなく、全身骨折で病院送りだったね……」

少なくとも、「へのへのもへじ」のヤキモチでは済まないだろうなぁ、と自惚れに苦笑した。
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