俺の、となりにいろ。
応接室の壁から「コンコン」と、音が聞こえてきた。政樹と奈津美が壁を見張る。
「おーい。聞こえるか?」
かなり小さな声だが、秀人の声が聞こえた。政樹は彼の声がする壁を軽く叩く。
「かなり壁が薄いのか?」
と、少し呆れた顔をした。
ここは建設会社、しかも本社なのに。
「あの壁は個室の手前にある、手洗い場の反対の壁なんだ」
と、秀人は説明する。
「じゃあ、私の聞いた声というのは…」
咲は眉を寄せて困った顔をした。