俺の、となりにいろ。
カウンターを挟んで向かい合った桐谷秀人に、
「あの、依頼書を」
と、彼の手にある紙を受け取った。
その紙を見て、私は「えっ!?」と声をあげてしまった。
A4の用紙に書かれた、大きな「へのへのもへじ」のマヌケな顔と「バーカ」という文字。
唖然とする私に、桐谷秀人は長い指で私の額を軽く突いた。
「なに、あんな男に口説かれてんだよ。バーカ」
「へ?バ、バカって…」
彼の口の悪さに、額の小さな痛みに手を当てて、ムッてして睨みあげる。しかし相手も口をへの字に曲げていても、怒っているような顔ではなかった。