俺の、となりにいろ。
桐谷秀人はカウンターの上にあった私の手を、そっと大きな手で包む。
「まったく。ゴールデンウィークの予定を聞かれたら、普通誘われると思って警戒しなきゃダメだろ?」
と、眉を潜めて心配そうな声で言う。
──仲本さんが桐谷課長の腕に寄り添って…。
私は彼の手から、自分の手をゆっくりと引き抜いた。
「咲…?」
名前を呼ばれてビクッと肩が揺れたが、動揺しないフリをする。
「こんな私を誘う男なんていないので、ご心配なく。それより、ご自分の大切な人の心配をなさった方が良いのでは?」
「は?」
彼の眉間のシワが、更に深くなった。
「聞きましたよ。営業アシスタントの女性と仲良く歩いていたそうですね。二人きりで過ごす女性を見つけられて、良かったじゃないですか」