俺の、となりにいろ。
秀人は翌日、クリーニングから戻ってきたスーツを身につけると、
「これから支度をして、大阪へ行く」
と、言い出した。
既に「仕事の顔」になっていた彼に、私は引き止めることが出来なかった。
「数日間は大阪支店で仕事をする。連絡は毎日入れるから、咲も何かあったら連絡して」
その言葉と、触れるだけのキスを残して行ってしまった。
彼を想う七年間に比べれば、数日間なんてどうってことない。
忙しいにも関わらず、ボーッと秀人のことを考えてしまっている私は、頭をブンブンと振った。
仕事しなきゃ。
スマホを鞄に戻し、備品依頼書の入力を始めた。