俺の、となりにいろ。

桐谷専務は私に向かって、
「あの手紙は、君が書いたのかな?」
と聞いた。

私はすぐに首を横に振った。
「いいえ、違います。確かに桃香さんは後輩であり、悩む彼女に代わって宇田支店長にセクハラの事実確認をしたことは本当です。でも…」

結局、用意した証拠も覆され、セクハラの事実を揉み消されてしまった。
誰も、私の言葉を信じてくれなかった。

だから、コンプライアンス室ができたからといって、その件を持ち込んだところで何も変わらないと思ったのだ。
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