クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「あなたはエルドラ王女殿下の侍女なのですね」

「はい。エルドラ王女の第一侍女を務めております」

「やっぱり」

王女の侍女は貴族の令嬢の中から特に優秀な者が選ばれると聞いている。

彼女もきっとリアナよりも格段に良い貴族家の出自なのだろう。振舞いと身に纏う空気で分る。

「誰にも話さないと誓います……それに私には夫以外の家族はなく、社交界に友人もいない為話す相手がいません。心配なさらないでください」

侍女はリアナの出自を思い出したようだった。やや気まずそうに眉を下げる。

「トレド前騎士団長は素晴らしい方でした。彼を失ったことはヴァレーゼ王国にとって大きな損失です」

「ありがとうございます。そう言っていただけて父も喜んでいると思います」

リアナは僅かに微笑んだ。胸には悲しさが広がっているけれど、父を称えて貰ったことは嬉しい。

「……王女殿下とリカルド様はとても親しいのですね……昔からですか?」

侍女は躊躇いを見せたものの、はっきりと頷いた。

「はい。ベルグラーノ伯爵様はエルドラ様の従兄でもありますから」

「そう……」

従兄でもある。つまり主たる関係は別のものと言うことだ。

そう気付きながらも侍女に追及する気になれなかった。

(聞かなくたってはっきりしている。リカルド様とエルドラ王女殿下は想い合っているのだわ)
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