クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「リアナ……今更だが、俺の子を身籠ってくれてありがとう」

「……え?」

「子供が出来たと聞いたとき、言えなかったことをずっと後悔していたんだ」

リカルドが切なそうにリアナを見つめる。

「子供のこと、喜んでくれていたんですか?」

思いがけない言葉に戸惑いながら問いかけると、リカルドはその端正な顔に驚きを浮かべた。

「リアナは俺が喜んでいないと思っていたのか?」

「だ、だってあのときリカルド様は困った様子だったから」

だから、大きな関心は持ってくれないのだと受け取った。
そして、エルドラ王女の存在を知ってから、そこ認識は更に大きくなっていった。

(でも、もしかして私の思い違いだったの?)

リカルドはリアナの心の声に応えるように、力強く言う。

「困ってなどいない。困る訳がない。ただあまりに驚いて、情けないことにろくな言葉が出て来なかったんだ」

「そ、そうだったんですか?」

リアナは唖然として目を瞬いた。

冷静沈着なリカルドが驚きすぎて言葉が出なくなるなんて、想像もしていなかったからだ。

「俺の態度が誤解を与えたんだろうようだな。悪かった」

「いえ、私もはっきり聞かないで思い込んでしまったので。でも良かったです。リカルド様がこの子の誕生を喜んでくれたと知って安心しました」

リカルドと繋いでいる手の反対の手で、僅かに膨らんだ腹部をそっと撫でる。

彼の視線がそこに向くのを感じ、くすぐったい気持ちになった。

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