ロマンスの王子様
「都内でシステムエンジニアとして働いています」

奥原さんの質問に答えた私に、
「それはつまり、実家を出て1人暮らしをしていると言うことなんだな?」
と、彼は聞き返してきた。

「はい、そうです…」

もしかして…いや、もしかしなくても私はこの人のことが嫌いなんだと思った。

と言うか、この人がかの有名な『奥原グループ』の総帥なの?

金持ちだか何だか知らないけど、ちょっと外見がいいからとか何だか知らないけど、性格に問題があるんじゃないか?

奥原さんは私の顔を見つめると、
「お前はこの結婚をどう思っているんだ?」
と、聞いてきた。

何でそんなことを聞いてきたんだろう?

「ど、どう思っているも何も『小町家』を助けるためならば何でもしようと思っています」

そう答えた私に、
「例えそれが愛のない結婚でもか?」

奥原さんは言った。
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