ロマンスの王子様
「きょ、興味がないって…奥原さんは、『小町家』――実家を助けるために結婚を希望したんですよね?」

私は言った。

『小町家』を助ける条件として、彼はそう言ったのだ。

「ああ、お前の実家である置屋には昔から世話になっているからな。

俺が高校生の時から世話になっているから…まあ、少なくとも20年近くのつきあいだな」

奥原さんは言い返した。

「だけど、この件に関しての話は別だと俺は思ってる」

私はどうすればいいの?

全くと言ってもいいくらいに話について行けないんですけど…。

そう思っていたら、
「俺は仕方なくお前を妻にするだけだ」

私に追い打ちをかけるように奥原さんが言った。

はぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいっ!?

どこかのマジシャンよろしく、耳を大きくして聞き返したくなった。
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