ロマンスの王子様
「し、仕方なく…!?」

怒りで自分の躰が震えているのがわかった。

仕方なく私を妻にするって、そう言うのは思っていても言わないことだと思うんですけど!?

さっきから何なの!?

要は結婚は嫌だけど、20年近くもお世話になっている『小町家』を見捨てることができないから仕方なく私と結婚するんだって言うことですよね!?

さっきからずーっと気に障るなとは思ってたけど、この瞬間から私はこの人が嫌いだと認識した。

まさか、初対面でここまで言われるとは思ってもみなかった…。

あまりの絶望に両手で頭を抱えたくなっていたら、
「かと言って、俺を恨むのは筋違いだ。

恨むなら、自分の家族を恨むんだな」

奥原さんはさらに追い打ちをかけてきた。

私は何も言い返すことができなかった。

同時に、思った。

――私、この人のことが大嫌いだ…と。
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