Match maker
そこから、15分程漕いで河川敷へと向かった。

凄い、気持ちいい。

久しぶりだ、こんなに外の風を感じるのは。

正面から受ける風が髪をなびかせる。

光を受けて、白くまばらに光る川が…綺麗。

緑と風と太陽と…

“イケメン”

まぁ、後ろにいらっしゃるから見えないのだけど。

帰りは後ろと交代して貰おうかな。

いや、交代してもらっても

イケメン顔は見えないか。

背中しか…

うーん…どっちがお得…

「そこの、坂から下りようか。」

は!会話してなかったわ。

慌てて返事をした。

「あ、はい。」

ん?坂?

結構急な坂だな。怖そう…

そう思っているうちに、自転車は急降下した。

こ、怖い。

「え、ちょ、こわっ!怖い!」

「大丈夫、ハンドルしっかり持って。」

彼は穏やかにそう言った。

にも関わらず…

「これ、制御装置とか!自動運転とか、落ちる!転ける!!ぎゃーっ」

気づけば、両手で叫んで顔を押さえてた。

転け…



ない。

「ハンドル離して、叫ぶのはどうかと思うよ?オートマじゃないし。これ。」

そーっと振り向くと

おもいっきり苦笑いした、イケメ…

田中さん。



「足、着くんだよね、俺は。」

そうだった。足が、長いんだった。

というか、そうだ。

『まぁ、得意な方だと思います。』

だなんて…言っておいて

そして、この様。

かぁっと顔が熱くなって、恐らく赤いだろう。

田中さんが、肩を揺らす。

それに合わせて、こちらもおかしくなる。

「ふっ」

「はっ」

「「あははは!」」

初めて会ったあの日のように

そこから二人で、笑いあった。

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