Match maker
第9話

繋ぐ

そこから、自転車を下りて押し、ベンチの横に停めた。

私達も、そのベンチに腰かける。

「この坂は急だったね。ごめん。あっちの緩やかな坂にすれば良かった。」

彼の視線の前方に緩やかな坂が見えた。

「田中さんは、普段からロードバイクを?」

「うん。ジムも行くけど。外の方が、爽快かな。」

「確かに。凄い気持ちがいい。」

そう言って、空を見上げた。

「タンデムは初めてだけどね、思ったより…」

「思ったより…?」

「楽しい。」

「うん、私も。こ、怖かったけど。」

私がそう言うと、田中さんはまた…笑った。

それから、ドリンクを私に渡すと0を取り出した。

【死ぬか思ったー。何が起こってんのか分からんしー。】

「あ、ごめん。そうか、バッグの中だと声しか聞こえないもんね。」

【そうや、雅実の脈拍マックスやし。実雅は平常時やし、状況が分からんわ。どないなってんねーんつって。】

「ん?普段も別に目がないんだし、かわらないんじゃないの?」

【俺は、目で判断してるんじゃないからなー。】

「“俺”!?0ちゃん、男の子なの !?」

思わず、0を持ち上げて底を見た。

【…あほか、AIに性別ないわ。ジェンダーレス。】

「“俺”って言うからでしょ?」

【ジェンダーフリーの時代やからな。てか、何で底を見るねん。】

「だって、男の子と言えば…さ。」

【目も、鼻も、口も、手足もないのにちん○んだけ、ついてるわけないやろー!】

「あ、本当だね。」

おかしくなって笑う。

【そもそも、付いてたとしても、やで?そんな底にはつけへんやろ。】

「あはは!本当だ!人で言うと、足の裏みたいな!?あはは!」

【おれのボディから見た比率で言うと…場所はこのへんか。】

そう言って、それっぽい場所を1点光らせる。

「バカだ!0ちゃん!バカだ!」

大ウケしていると気を良くしたのか

【大きさの比率としては、こんくらいか?】

と、大きさを光らせて表した。

「そこは、見栄張って大きくしないの?」

そう聞いた私に

「雅実、そろそろ…」

田中さんが制止する。

…しまった。

つい…

品のない会話を…

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